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再循環系ひび割れ見逃し問題 並びに ハフニウム制御棒破損問題及び 耐震設計に関する抗議と申し入れ

 
東京電力株式会社 社長 勝俣恒久 殿

 再循環系配管のひび割れ見逃し問題は、2月に福島第二原発3号機で
交換して切り出した再循環系配管から新たな亀裂が発覚し、あるうことか
溶接痕だと思ったが亀裂で、3月23日、溶接部近傍の全周にわたるひび
を検査で見逃していたと発表しました。



 
 再循環系配管は、圧力バウンダリを構成する最重要個所であり、いわば
心臓直近の大動脈です。 そこに問題があっても現行検査で把握できな
いということであり、安全上重大問題です。

 2002年の東電不正事件で前号機が停止した背景は、この再循環系配
管の検査と評価の問題でした。 そもそも、今回の全周ひび割れは、福島
県の要請によって配管を交換した結果、発見されたものであって、国の
「維持基準」からは安全だと運転を継続して県の要請を聞かなかった場合
は、発見できなかったものです。

 国の「維持基準」は検査で異常を察知することが前提ですが、今回の事
態はその前提がくずれる重大事態です。 これは、「維持基準」そのものが
成立しないことを示したもので、安全確保上、看過できません。

 また、福島第一原発6号機が発端となった東芝製ハフニウム板型制御棒
破損問題は、3月7日、第一原発3号機でも発見され、東京電力は破損金
属片を全量回収するとしていましたが、20日になって調査に誤りがあり未
回収片がある、と発表しました。

 制御棒は、原子炉の心臓部、核燃料の反応をコントロールする、ブレー
キの役目を果たす重要機材です。 このため保安院は、各電力に一斉点
検指示を出したところ、検査した制御棒の2割でひび割れを確認するという
驚くべき結果でした。

 制御棒破損は、ステンレスSUS316L系材の応力腐食割れとみられ、こ
れこそ配管ひび割れ問題の重要部材であり、この事実を関係者が初めて
知ったとは考えにくく、以前から判明していたものの問題の深刻さから公表
が先送りされていたのではないか、と推察されます。

 さらに、北陸電力志賀原発2号機差し止め訴訟の原告勝訴判決は、既存
原発の耐震設計及び現行耐震設計指針の明確な不十分性と危険性を指
摘しました。 既に浜岡原発では、地震時の炉心損傷評価でIAEA推奨基
準の6倍の危険性が示され、従来の600ガルから新たに1000ガルの揺
れに耐えられるよう全て耐震補強工事を実施することになりました。 双葉
断層に位置する福島第一原発の耐震設計は265ガルで到底安全・安心の
領域にありません。

 これらの問題は原子炉の安全上重大な案件です。 県民の安全・安心の
確保のため、東京電力のお粗末な対応に抗議し、事態の深刻さを踏まえた
真摯な対応を求めます。

 この際、あらためて以下申し入れ、4月18日まで文書で回答されるよう申
し入れします。

                        記

 1.福島第二原発3号機の事態で「維持基準」の前提がくずれたことを認
  めること。
 2.再循環系配管は定検毎に全数点検を行い、減肉箇所を必ず交換する
  減肉管理を行うこと。
 3.福島第一原発3及び6号機は、原子炉を停止して制御棒の破片を全
  量回収すること。
 4.全原発を停止し、ハフニウム板型制御棒についての総点検を実施し結
  果を公開すること。
 5.福島原発の地震津波対策を抜本的に再検討し10機全て耐震補強工
  事を実施すること。

                                          以上

                                 2006年3月27日

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