原子炉圧力容器内表面の亀裂、アンダークラッド・クラッキングに関する公開質問書

 
 福島第一原発1号機は運転開始以来34年、同2号機が31年を越えました。
原発の高齢化が進み、老朽化=経年劣化による重要配管のひび割れや減
肉、原子炉内構造物の損傷など深刻な事態が明らかになっています。



 設計時の想定寿命を超えながら 「高経年化対策」 の名のもとに無理な
運転継続が進行中のため、材質の劣化、機器の機能低下を引き起こし、事
故や故障の原因となってきました。 その結果、2004年には関西電力美浜
原発3号機配管破裂事故により12名の死傷者を出すに至っております。

 「高経年化対策」によって、事業者は運転開始後30年の原発について、機
器や構造物の健全性を評価し 「高経年化対策技術評価報告書」 としてま
とめ、運転開始後10年ごとに定期安全レビュー報告書に組み入れられ、国
に提出しています。

 こうした中、原発の心臓部である原子炉圧力容器の胴と下鏡(いずれも低
合金鋼製)の内表面は、錆を防ぐため厚さ1~2インチのステンレス鋼を溶接
して覆っています。 この原子炉圧力容器内表面に溶着した部分がクラッド
(内張り、肉盛り)と呼ばれ、1970年欧州のメーカーがクラッドを剥ぎ取った
原子炉圧力容器内表面に細長いひび割れを発見しました。 これがアンダー
クラッド・クラッキング(UCC=被覆下割れ)です。

 福島第一原発1号機の原子炉圧力容器は、UCC発見前に製造されていま
すが、「高経年化対策技術評価報告書」 にはUCCに関する記載が全くあり
ません。 また、第一原発2号機も報告書ではUCCが発生している可能性を
認めながら、技術的に有効な防止策が施されたのか、客観的根拠が不明で
す。 いずれにしろ、原発の心臓部に細長いひび割れが存在し成長している
のではないか、という恐れがあります。

 原発の法定寿命が40年のアメリカでは、20年運転延長の際に NRC(原
子力規制委員会) の安全審査と環境審査をパスしなければなりません。
マクガイア原発1、2号機や、カトーバ原発1、2号機の例では、製造方法が
UCCをもたらさないという決定的証拠の提出を求めるなど、厳しく審査してい
るといいます。

 また、PWRではUCCが脆性破壊や加圧熱衝撃(PTS)亀裂進展に結びつ
くことを懸念している専門家もいます。

 以下、7月13日午後2時より第一原発サービスホールで文書回答されるよ
う質問します。

                          記

 1.福島第一原発1号機の 「技術評価報告書」 に UCC に関する記載
  が全くない理由は何か。

 2.福島第一原発2号機の 「技術評価報告書」 では UCC が発生して
  いる可能性を認めているが、「影響を無視してよい」「亀裂が成長すること
  がない」 とする客観的根拠を示されたい。

 3.福島第一原発2号機の 「技術評価報告書」 では、UCC が成長して
  もフランジ溶接部近傍は供用期間中検査で検知可能としているが、これ
  までの検知内容を示されたい。

 4.原子炉圧力容器のクラッドの製造方法----1)溶接時の入熱条件 2)
  クラッドの層数 3)材料 などについて、福島原発の10機それぞれにつ
  いて明らかにされたい。

                                          以上

                             2005年7月3日
                             脱原発福島ネットワーク
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